静脈瘤とは?
下肢静脈瘤は人類が起立歩行を開始して以来つきまとってきた疾患であり、古くはギリシャ時代の建造物にも彫刻があるほどにポピュラーな疾患で成人の15%、成人女性では5人に1人が罹患しているとも言われています。
その原因は静脈の壁のしなやかさが失われたり、静脈弁の機能異常によるものですが、家族性の要因もあります。
足の静脈系には表面の静脈(表在静脈)と足の中心部の深くにある太い静脈(深部静脈)、両者を結ぶ静脈(交通静脈)からなり、表在静脈には主には大・小伏在静脈の2本があります。
そして、静脈血の95%は深部静脈を通って心臓へ戻っています。
足の静脈にはたくさんの逆流防止弁がついていて表在静脈の血液は深部静脈へ一方通行的に流れるようになっています。
そして、この弁が故障すると血液が深部より表在静脈に逆流したり、心臓へ向かう血液が足先の方向へ逆流したりして血液があふれる結果、いわゆる静脈瘤と呼ばれる静脈がモコモコと膨らんだり、血管が異常に浮いてきたりするような状態になってしまうわけです。
足から心臓に戻るべき血液の一部(あくまでも一部です)が足に溜まるわけですから、足が重く、だるくなったり、痛みを感じたり、時には潰瘍や皮膚炎を起こしてきたりするようになるのです。
原因については、諸説さまざまですが、まず肥満、長時間の立ち仕事、慢性便秘、ホルモン異常などによる血管壁の老化・変性が考えられています。
どうすればよいのでしょうか?
大部分の静脈瘤の方は、まずたいていは手術しないで治療が可能です。
(1)長時間の起立・座位を避けること(貧乏揺すりも効果があります)
(2)肥満を改善する(これが一番大事です)
(3)身体を締め付ける衣服やハイヒールを避ける
(4)足を清潔に保つ
(5)適度な運動を心掛ける
(6)寝るときは脚を少しあげて寝る
そのうえで以下のことを行ってください
(1)夕方にシャワー浴や入浴をすること(毎日の冷たいシャワー浴は効果的です)(2)朝、歩行の前に膝上までの弾力ストッキング(20〜40mmHg)を着用する (3)下肢を1日に3〜4回、10〜15分間心臓より高く上げる (4)足の血液を押し上げるために歩行や足踏み運動を頻回に行う (5)静脈瘤は絶対に傷つけないこと |
治療法は?
これらのことを行っても、下肢の痛みがおさまらない場合や静脈瘤が原因の皮膚炎・潰瘍がある場合には治療が必要となります。
治療手段として、現在、保存療法・手術療法・硬化療法の3種類があります。
これらを静脈瘤の程度によって使い分けたり、組み合わせたりすることが大切だと言われています。
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静脈結紮術とは、交通静脈の分岐点や伏在静脈の深部静脈への合流部などポイントとなる箇所だけを数カ所、括ってしまう方法で、逆流を食い止めた上で残った静脈を硬化剤で固める方法で、高位結紮術とも呼ばれています。
一般的には、2〜3カ所の結紮(1ヶ所につき傷は1〜2cmです)を行いますが、結紮だけで静脈瘤が消滅してしまうことが約半数の方で確認されています。
高位結紮術あるいは静脈結紮術を伴う硬化療法は、治療時間が約30分程度で、入院の必要もなく、外来通院で行うことが出来ますので、当院でのお勧めの方法です。
料金は、圧迫療法に使用するストッキングは3300円です。
ストッキングは手術後にも使用します。
3割負担の方では
・手術療法(静脈抜去術)は約3万5千円
・硬化療法は約1万円
・結紮併用硬化療法は約3万円
となります。
以下、結紮併用硬化療法を主として、治療法について説明いたします。
硬化療法とは?
下肢静脈瘤硬化療法とは、静脈瘤内に硬化剤(当院では1%ポリドカノール)を直接注入して静脈瘤壁を荒廃させて、それを外部から圧迫することで静脈内膜を癒着・硬化させて、瘤を消滅に導く方法です。
通院治療で簡単に行えて、美容的にも優れています。
ポリドカノール液とは、食道静脈瘤の硬化剤として30年近くにわたる臨床使用実績のある薬品として広く使用されていますが、副作用も少なく安全な薬品であると考えています。
しかし、それでも、蕁麻疹などのアレルギー反応、血栓症などが非常に少ないものの報告されています。
ただし、前ページでも述べましたように、硬化療法単独の治療では、再発率が高いうえに治癒率も低いのが現実です。
理屈で申しますと、逆流の多い太くなった静脈のなかに硬化剤を注入しても、硬化されるまで静脈内に血液が流れ込まないような圧迫方法をよほど完璧に行わない限り、中途半端な硬化では、すぐに隙間から血液が流れ込むようになって再発してしまうのです。
足のようによく動く部分を完璧に圧迫することはほぼ不可能ですから、再発率の高さは理屈で十分説明できるわけです。
そのためには、血液が勢いよく流れ込まないような処置をすればよいわけであります。
右の図をご覧いただければおわかりのように、静脈瘤には必ずポイントとなる部分があります。
右の図でも、深部静脈へ流入する部分(Sapheno-Femoral Junction略してSFJ、あるいはSapheno-Popliteal Junction略してSPJ)や深部静脈と交通している静脈の分岐点などがあります。
これを治療前にDuplex Scanningというカラードップラーエコー(右の器械です)を用いて、血流量(逆流量)や太さなどから結紮が必要な部分をリストアップして、その場所にマーキングしておくのです。
そして、治療時に局所麻酔下に1〜2cmの傷でその部分を結紮するのです(結紮併用硬化療法)。
このようにして、静脈瘤の中に勢いよく流れ込む血液を遮断したうえで、硬化剤を注入しますと、再発率も低く抑えることが出来るわけです。
現実には、約半数の方で硬化剤を注入することなく、結紮術だけで静脈瘤が治癒しています。
もし、仮にその部分に静脈瘤が再発したとしても、次回からは結紮することなく、硬化剤を注入するだけでよいのです。
今までの経験から、結紮箇所は2〜3箇所が最も一般的です。なかには5〜6箇所という方もいらっしゃいますが、、3箇所くらいまでの方が多いようです。
結紮術の後は、もちろん歩いて帰宅していただけますが、数日間(1週間以内)、足全体に粘着剤付きの包帯を巻きます(ずれたり、緩んだりしないため)ので、その間は入浴できません。
包帯をはずした後は、約2ヶ月の間、弾力ストッキングを着用していただきます。
その理由ですが、足全体の静脈血の流れに変化が起こるからです。
今まで逆流が多くて、足全体に血液がうっ滞して、深部静脈(筋肉内)もかなり太くなってきていました。
突然、手術によって逆流が止まったとしても、緩んで太くなった静脈はすぐには元に戻りません。
この状態で放置しますと、血液が溜まったまま流れなくなり、ひどい場合には血液が固まって血栓症を引き起こすこともあるのです。
こういった理由から、静脈瘤の術後は、2〜3ヶ月は弾力ストッキングを着用すること、睡眠中は外してもらって結構ですが、やや下肢を高く上げて休まれることを忘れないでください。
硬化療法の適応について
(1)高齢の方、(2)重症の心臓病の方、(3)ひどいアレルギーの方、(4)妊娠中の方、(5)高度肥満の方などは硬化療法は受けられない方がよいでしょう。
治療後の注意 |
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静脈瘤の体質(=「お血」)とは
漢方診断学における診断方法の1つとして、気・血・水にもとづく診断法があります。そのなかの「血」の異常には「血虚」と「お血」があります。「お血」は血の流れがスムーズにゆかず、途中で停滞したり途絶えてしまう状態のことを指します。停滞した血は血の役割を果たさず、かえって有害なものとなるのです。
お血は、内外のストレス、打撲、運動不足、睡眠不足、ご馳走の食べ過ぎ、便秘などによって血液流速の低下、うっ滞、流通の途絶などが起こり、お血という病態に至るのです。
その症状は、顔・眼の周りのシミ・色素沈着、毛細血管拡張、手のあかぎれ、痔疾、月経障害、不眠・精神不穏(イライラ、のぼせ)、発作的な紅潮、筋肉痛・腰痛、臍の周りの圧痛などです。
主な方剤は、「桂枝茯苓丸」「当帰芍薬散」「桃核承気湯」などですが、これらは駆?血剤と呼ばれ、西洋医学的にも微小循環改善剤として位置づけられています。







(1)夕方にシャワー浴や入浴をすること(毎日の冷たいシャワー浴は効果的です)