下肢静脈瘤硬化療法とは、静脈瘤内に硬化剤(当院では1%ポリドカノール)を直接注入して静脈瘤壁を荒廃させて、それを外部から圧迫することで静脈内膜を癒着・硬化させて、瘤を消滅に導く方法です。
通院治療で簡単に行えて、美容的にも優れています。
ポリドカノール液とは、食道静脈瘤の硬化剤として30年近くにわたる臨床使用実績のある薬品として広く使用されていますが、副作用も少なく安全な薬品であると考えています。
しかし、それでも、蕁麻疹などのアレルギー反応、血栓症などが非常に少ないものの報告されています。
ただし、前ページでも述べましたように、硬化療法単独の治療では、再発率が高いうえに治癒率も低いのが現実です。
理屈で申しますと、逆流の多い太くなった静脈のなかに硬化剤を注入しても、硬化されるまで静脈内に血液が流れ込まないような圧迫方法をよほど完璧に行わない限り、中途半端な硬化では、すぐに隙間から血液が流れ込むようになって再発してしまうのです。
足のようによく動く部分を完璧に圧迫することはほぼ不可能ですから、再発率の高さは理屈で十分説明できるわけです。
そのためには、血液が勢いよく流れ込まないような処置をすればよいわけであります。
右の図をご覧いただければおわかりのように、静脈瘤には必ずポイントとなる部分があります。
右の図でも、深部静脈へ流入する部分(Sapheno-Femoral Junction略してSFJ、あるいはSapheno-Popliteal Junction略してSPJ)や深部静脈と交通している静脈の分岐点などがあります。
これを治療前にDuplex Scanningというカラードップラーエコー(右の器械です)を用いて、血流量(逆流量)や太さなどから結紮が必要な部分をリストアップして、その場所にマーキングしておくのです。
そして、治療時に局所麻酔下に1〜2cmの傷でその部分を結紮するのです(結紮併用硬化療法)。
このようにして、静脈瘤の中に勢いよく流れ込む血液を遮断したうえで、硬化剤を注入しますと、再発率も低く抑えることが出来るわけです。
現実には、約半数の方で硬化剤を注入することなく、結紮術だけで静脈瘤が治癒しています。
もし、仮にその部分に静脈瘤が再発したとしても、次回からは結紮することなく、硬化剤を注入するだけでよいのです。
今までの経験から、結紮箇所は2〜3箇所が最も一般的です。なかには5〜6箇所という方もいらっしゃいますが、、3箇所くらいまでの方が多いようです。
結紮術の後は、もちろん歩いて帰宅していただけますが、数日間(1週間以内)、足全体に粘着剤付きの包帯を巻きます(ずれたり、緩んだりしないため)ので、その間は入浴できません。
包帯をはずした後は、約2ヶ月の間、弾力ストッキングを着用していただきます。
その理由ですが、足全体の静脈血の流れに変化が起こるからです。
今まで逆流が多くて、足全体に血液がうっ滞して、深部静脈(筋肉内)もかなり太くなってきていました。
突然、手術によって逆流が止まったとしても、緩んで太くなった静脈はすぐには元に戻りません。
この状態で放置しますと、血液が溜まったまま流れなくなり、ひどい場合には血液が固まって血栓症を引き起こすこともあるのです。
こういった理由から、静脈瘤の術後は、2〜3ヶ月は弾力ストッキングを着用すること、睡眠中は外してもらって結構ですが、やや下肢を高く上げて休まれることを忘れないでください。 |