小島外科胃腸科 Kojima geka ichouka
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◆ 創傷治療 ◆◆◆

傷の手当て

当院では、切り傷や擦り傷などの外傷あるいはヤケド(熱傷)などの傷の手当てにガーゼや消毒薬を用いない「新しい創傷治療」を強力に推進しています。
以下、「消毒とガーゼ」撲滅宣言をホームページより抜粋しましたので、ご覧下さい。

「消毒とガーゼ」撲滅宣言

医療行為とは何かを言うことを問い詰めると,「病気や怪我の苦痛を取り除くこと」「病気や怪我を早く治すこと」の 二つに尽きるだろう。これについては恐らく,異論はないと思う。この意味で,「苦痛を与え」「回復を遅らせる」行為は 反医療行為とみなしていいだろう。

しかし,現在の日本の医療現場(そして世界中の医療現場)では平然と日常的に,その反医療行為が行われている のだ。それが「傷を消毒してガーゼをあてる」行為だ。 「傷を消毒し,ガーゼをあてる」ことで,傷の治癒を遅らせて患者さんに経済的損害を与え,無用の身体的苦痛を 与えているのだ。すなわち,医療行為として行われているものの中で最も意味がなく非科学的で野蛮な行為といえる。

ここでは「消毒とガーゼ」にかわる最新の創傷治療を紹介する。それがとりもなおさず,患者さんの利益になること だからだ。「消毒とガーゼ」のような患者さんに苦痛を与えるだけの馬鹿げた治療(・・・もしもそれが「治療」と呼べる のであれば・・・)が一日も早く撲滅され,患者さんがこの無用の苦痛から逃れる日が来ることを切に願っている。

私がなぜこのサイトを作っているかというと,閉鎖療法が「痛みのない外傷治療」を実現するものだからです。 そしてその補助手段として,現在手に入る医療材料では創傷被覆材が最適だからです。
なぜ,「消毒とガーゼ」を攻撃しているかというと,それが明らかに患者さんの害になっていることがわかったからです。
それが患者さんに対して有害な行為だとわかったのに,それを患者さんに行う勇気は私はありません。 私にとって「傷を消毒する」のは,患者さんに毒を盛るのと同じ行為です。臆病な私には,それができません。

私の治療原理はきわめて簡単です。「患者さんに害になる行為はしない」,それだけです。

また、平成16年12月10日(金)産経新聞夕刊に掲載された記事を紹介します。

■ 閉鎖療法:ラップで密閉、傷など治す

食品ラップで密閉するだけで、傷や褥瘡(床ずれ)を治す新しい傷治療法が医療機関に広まってきている。
これまでの常識を覆すような治療法だけに、異論も多いが、導入した医療機関はその効果に満足しているところが多い。
家庭でけがをしたらどのような処置をするだろうか。まず、傷口をきれいにして、消毒。
そして、傷□が乾いたら傷薬を 塗って、傷テープかガーゼをはる。傷口がぬれたら、また、消毒して、傷薬を塗って、傷テープかガーゼをはる。 この繰り返しをして、傷□にかさぶたができたら、治った証拠というのが一般的ではないだろうか。

新しい傷治療法は「閉鎖療法」と呼ばれ、前述のようなこれまでの常識的な傷治療法を否定するところから始まる。
傷口をきれいにすることは同じだが、その後の処置はまったく違う。
消毒はしない。そして、傷口を乾かさないで、 そのまま皮膚再生を促す被覆材で覆うだけ。
濡れてもそのままにしておけば、軽い傷なら二、三日できれいに治ってしまう。

閉鎖療法を取り入れている多根総合病院外科の小川淳宏医長はその原理を次のように説明する。
傷が治るメカニズムは、まず、出血した血を固めるために血小板が集まってくる。次に黴菌をやっつける免疫系の細胞 が働き、そして、傷口を修復するために線維芽細胞が活躍し、最後に表皮細胞が増殖して傷口をふさぐ。
これらの働きを 促すのが、さまざまな細胞からでてくる細胞増殖因子と呼ばれる物質だ。
この過程でのキーワードは細胞。細胞は消毒されると死んでしまうし、乾燥にも耐えられない。
これまでの傷治療法は人間の持っている傷を治す力を押さえ込んでいたといえる。
かさぶたができて治る傷は長期間にわたって傷あとが残るが、この治療法で治した傷は、治ると同時に傷あとが
ほとんどわからなくなる。

閉鎖療法で傷を治していると、じゅくじゅくしてくる。このじゅくじゅくは、膿んでいるのではなく、細胞が傷を治そうとして
いる証拠なので、気にすることはない。
ガーゼはこのじゅくじゅくを吸い取り、乾燥させ、傷の治りを遅くするだけ。
閉鎖療法は「すぱっと切れた」切り傷には向かないが、広範囲のすり傷や縫うことのできない傷に向いている。
閉鎖療法は床ずれ治療にも有効だ。床ずれは非常に治りにくく、介護や看護も大変だった。
床ずれの閉鎖療法は被覆材を使っていたが、水道水で洗って食品ラップをはるだけでいいことがわかってきた。
処置に五分もかからず、これまでの治療法より治りも早い。外用薬や消毒薬もいらないので、医療費の削減にもつながる。
多根総合病院でも今年七月から床ずれには全面的にラップ療法を採用している。

傷の治療も床ずれと同じように被覆材を使わないで、傷を水道水で洗ったあと、食品ラップで覆うだけでも治ることも
わかってきた。広範囲のやけどにも応用できることも実証されつつある。
私事ながら、子どもがけがをしたときに市販されている閉鎖療法用の傷テープを使ってみた。
本当に早く、きれいに治った。

家庭や学校でも傷の閉鎖療法を導入してはどうだろうか。
閉鎖療法を詳しく説明したウェプサイト(http://www.wound-treatment.jp/)はラップ療法のウェブサイトにもリンクしており、両療法を行っている医療機関も紹介している。

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創傷治療考察

■ Question

  • 1.創は乾燥した環境で治癒する?
  • 2.毎日ガーゼ交換は必要?
  • 3.傷は水に漬けてはいけない?

私は、以前は創傷治療に関して、いくつかの疑問を抱いておりまして、それについて少々考えてみました。
まず、疑問だったことは、上の3点です。
病院を受診すると、「傷が乾いてきたね」とか、看護師さんに「毎日ガーゼ交換に来てくださいね、傷が膿まないようにね」とか、「傷は水に濡らしてダメですよ」とか、言われた経験はありませんでしょうか?
少なくとは私は何回も言われた覚えがあります。また、昔は自分でも言っていたような覚えもあります。
でも、これは正しいことでしょうか?

下腿潰瘍、褥瘡(床ずれ)、難治性創傷などの経過に関しては、感染、栄養状態、基礎疾患、外力、創部環境などが関与すると考えられています。
感染、栄養状態、基礎疾患に関しましては、それぞれの治療方法がありますので、今回はこのことには触れずにおきます(言いたいことはありますが)。
外力、創部環境といった創傷管理について考えていきたいと思います。
皮膚の構造は、上の図のように、機能としてバリア機能、水分排出と保湿機能、体温調節機能、皮膚感覚機能、栄養分の保持機能などを司ります。
そして、皮膚の構造としては表皮、真皮、皮下組織に大別され、創傷治療に関しては、真皮の部分が大変重要となってきます。
真皮は乳頭層、乳頭下層、網状層に分けられ、真皮と表皮の間にあるのが基底層と呼ばれる基底細胞が一列に並ぶ部分があります。
この基底層が大変重要なのであります。

熱傷(ヤケド)を例に取りますが、熱傷はT度からIV度に分けられますが、T度は表皮にとどまるもの、U度は基底層が侵されるもの、V度は真皮網状層まで侵されるもの、IV度は皮下組織まで侵されるもの、とされます。
熱傷ではU度になりますと、通常の約30倍の水分が喪失されます。
しかし、熱傷部位で水疱(水ぶくれ)が形成される場合には水分喪失は起こらないことになります。

創傷をガーゼを貼付して治療した場合には、創内から通常時の約30倍の水分が浸出液となって水蒸気として痂皮(かさぶた)を通過して創部から失われれることになります。
そして、創内は乾燥して、創底部に残った基底層、真皮まで乾燥して腐ってしまいます(乾燥壊死)。
その結果、よく見られる真っ黒なカサブタが形成されることになるのです。

表皮の形成は基底層の細胞が創縁より延びてきて完成するわけですが、痂皮がある場合には基底細胞は壊死組織の上を延びることが出来ずに創治癒は非常に緩慢なものになってしまうのです。
さらにこれに追い打ちをかけるように、ガーゼ交換するときに、ガーゼに付着した痂皮とともに新生表皮細胞までもが一緒に剥がされてしまって、さらに表皮形成が遅れることになるのです。
こういう状況、今まで陥ったことはありませんでしたか?
経験なしといわれる方はラッキーな方です。これを防ぐために(というより見ておれずに)ソフラチュールといわれる軟膏付きのガーゼを貼り付けることが多いのです。
そうしても、翌日にはカラカラに乾燥したソフラチュールのガーゼ部分(軟膏は吸収されてしまっている)が新生表皮をつれて剥がされてしまうのです。
これでも、傷が治っていたのだから、人体の治癒力とは凄いものです。

そこで、近年、褥瘡などの処置を中心に見かけられるようになったハイドロコロイドドレッシング製剤などの創傷治療貼布剤が急速に認知されてきました。
上の写真は、当院で使用しております製品ですが、各種取りそろえて、製品供給も急速に改善されてきております。
当院で最もよく使っているのが、デュオアクティブET、コムフィール、ビューゲル、ハイドロサイト、ソーブサンなどです。

そこで、ハイドロコロイドドレッシングを用いた場合の創傷はどうなるかを考えてみます。
ハイドロコロイドドレッシングは、外側がウレタンフォームで防水作用があり、内側の層に疎水性ポリマーの中に親水性コロイド粒子、いわゆるハイドロコロイドが封入されている構造です。
これは正常皮膚を乾燥した状態に保ちながら、創内は湿潤環境を維持し、潰瘍周囲皮膚が保護されます。
これは、基底細胞増殖・移動に最適な環境となるわけです。ドレッシングを剥がす際にも創傷治癒に必要な物質を含んだ浸出液を含むゲル状物質が創内に分離しますので新生組織に損傷を与えないことになります。

ガーゼで創処置をすると、表皮が壊死して痂皮となり、痂皮の下で細菌増殖が起こり、容易に蜂窩織炎を起こしやすい状態となるわけです。さらにガーゼ交換によって細菌侵入の機会を増やしているとも言えます。
閉塞性ドレッシングの場合は、創内に浸出液を貯留させ湿潤環境が維持され、創の治癒が促進されます。
また、創内には低酸素状態に維持され、抗菌作用を有するハイドロコロイドの作用も相まって細菌増殖が鎮静化される状態になります。

上の図は、Winterの記した創傷治癒の模式図ですが、左側は閉塞性ドレッシングの場合、右側はガーゼドレッシングの場合を示します。
湿潤環境では上皮細胞は容易に創傷面を覆うことが出来るが、乾燥した痂皮の下をどうにか這っていく上皮細胞は、足場もなく、いつも乾燥による”死”の恐怖におののきながら遅々として歩みをすることになります。

ドレッシングだけの話をしましたが、その他にも創傷治癒に影響を与える因子について考えます。 まず、消毒薬です。ヒビテンもイソジンも過酸化水素水も同程度に治癒に悪影響を及ぼします。イソジンは毒々しい色をしているのに対し、ヒビテンは皮膚に優しいと思われている方もあるかもしれませんが、障害度はそんなに変わりません。 実は、創処置に際しては、創内は生理食塩液で洗浄するだけにして、いわゆる消毒薬は使わないのが、傷に対して最も正しい使い方なのです。 また、創内の温度ですが、ガーゼドレッシングにはほとんど保温効果のないことがわかります。ウレタンフォームではほぼ体温が維持されているのがわかります。 さらには、ガーゼを張るときの粘着剤も除去時と貼っているときの張力が傷に与える影響が大きく、その他にも除去反応、過敏反応なども創傷治癒に影響することがわかりました。

消毒薬もガーゼも悪いとなると、感染創や壊死組織のある創はどうすればよいのでしょうか?
壊死組織の除去法は、外科的に除去するほかに、湿したガーゼを頻回に取り替えるwet to dry dressing法(数時間おきに取り替える必要がある)、カルトスタットを充填する方法、デブリサンを充填する方法、生理食塩液による高圧洗浄法などがあります。
感染が著しい場合にはwet to dry dressing法が最適ですが、その他の方法も効果があります。
一番してはいけないことは、消毒液を創内に多量に使用することです。
こう考えてくると、閉鎖療法を行ってはいけない状況がわかってきました。
つまり、感染創、瘻孔形成した創、広いポケットがある場合、浸出液が異常に多い場合、筋肉にまで達する深い傷などです。

ガーゼドレッシングと閉塞性ドレッシング(閉鎖療法)を比較しますと、ガーゼは安価で材料が手に入りやすく、容易に実施が可能であるという点ですが、湿潤環境が作れず、創面に固着するという欠点があって、感染のない一次縫合層と浅く小さな傷だけが適応になります。
閉塞性ドレッシングの適応はこの逆と考えていただければよいですが、非常な特徴として、疼痛緩和作用があるという点は覚えておいてください。これはヤケドの場合に顕著です。

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創傷と入浴について

  • 手術前の“手洗い”に水道水を用いても滅菌水と創感染率は変わらない、という事実
  • 入浴で、創傷部の細菌、周囲皮膚の常在菌は著明に減少する
  • 潰痕部の細菌が周囲皮膚に付着するのが不安なら入浴後にシャワーを浴びる
  • 上皮細胞の活性化、組織血行の改善に入浴が有効
  • 疼痛を伴わない限り、周囲皮膚が浸軟しない程度の入浴は“治療”として取り入れるべきである
  • これを理解させるのは、医療従事者を含めて至難の業である

入浴について考えてみます。
1つには、風呂の水は汚くないという点です。傷によって汚れることがあっても、傷よりはよほどきれいです。そして、入浴によって創部あるいは創周囲を含めて再菌数は著明に減少することがわかっています。
また、入浴によって組織血行が改善されますので、疼痛を伴わない限り、また周囲皮膚が浸軟しない程度の入浴は、積極的に取り入れても良いのではないでしょうか。
外国の教科書では、入浴という習慣があまりないのではっきりとは言えませんが、少なくとも、シャワー浴は勧めるものこそあれ、シャワーを禁止しているものは見あたりません。実際、水に漬けてはいけませんと言っているのは日本だけの特異な現象であるといわざるを得ません。

いよいよ、まとめます。
一つは、創は乾燥した環境では治癒しないことがわかりました。
二つには、浸出液の多い場合や著しい感染のある場合を除いて、毎日のガーゼ交換はしてはならない、ということがわかりました。さらに、浸出液の多い場合や著しい感染のある場合には1日1回のガーゼ交換では不十分であることもわかりました。
三つには、傷は水に漬けても、何ら問題ないことがわかりました。

最後まで、ご覧いただきましてありがとうございました。
これで、あなたも、創傷治療の常識が覆されたことでしょう。
今後は、ケガをしても、ヤケドを負っても、痛くない、綺麗に治る治療法を選択されることでしょう。心からおめでとうございますと申し上げます。

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