| 最近では病院を受診して、食事ついて質問すると、必ずと言って良いほど、「水分を多く摂ること」と指示を受けるようになってきました。そして「塩分は控えめに」と言われることになっています。
「塩分」に関しては、項を改めるとして、水分はそんなに必要なのか、について考えてみたいと思います。
水分を多くとれ、という発想はアメリカをはじめとする西洋医学の特徴です。アメリカはどういう国でしょうか。砂漠に代表される乾燥地帯です。そのうえ天然水が硬水ときていますから、つねにミネラルウォーターを摂っていないと枯れてしまうのです。それは、乾燥地帯ゆえに皮膚からの不感蒸泄量が多くて、簡単に脱水症状を起こしてしまうからです。ところが、日本という国は、周囲を海に囲まれた多湿遅滞です。常に湿度が40%以上、夏になると不快指数が高くなって、じっとしているだけでジトーッと汗がにじむほど湿度の高い環境にあります。このため、日本で独自に進化した漢方薬には、多種類の水分を調節する生薬(利水剤)が含まれています。
日本で、アメリカと同じように水分を摂るように促せば、簡単に水毒症状が現れます。水毒症状とは、むくみ、めまい、頭痛、立ち眩み、鼻汁などの水滞症状を指します。
よく、血液をサラサラにするために水分を多く摂る、と言われますが、血管内の容量は常に一定でありますので、水分を多く摂取しても血液のドロドロは薄くなることはありません。逆に、高温多湿の地域では、摂取した水分はむくみとなって血管外の組織に溜まってしまい、冷え性や身体のだるさ、めまいの原因になります。洗濯機のように、水を入れれば血管内が洗われて綺麗になるとお考えかもしれませんが、逆に冷えてしまうために、組織の活力が低下して、浄化能力が低下するというのが現実のようです。
最近、新聞でも報道されましたが、アメリカの研究機関の報告によると、マラソンランナーにレース中に水分補給をすると、レース後の死亡率、リタイア率が上昇し、完走率が低下するとのことです。これは、ミネラルウォーターでもアイソトニックウォーターでも同じ結果であったとのことです。一番良い結果であったのは、塩をなめさせることであると報告されています。
これは、昔からの日本古来の方法じゃないですか。戦に赴くときに、兵士は握り飯に塩を持って行きました。遠征で疲れると、塩をなめながら歩を進めました。ここで水分を摂ると行き倒れてしまうことを知っていたからです。
ようやく、西洋医学も東洋医学に近づいてきた、と喜んでいるのは私だけでしょうか。 |